
導入企業: 株式会社ライズアップ
業種: 業務用中古厨房機器の販売・買取
(ブランド:プロ厨房ヒット)
所在地: 本社/再生センター:兵庫県加西市
受賞歴: 公益社団法人 企業情報化協会「IT賞」受賞
(2026年1月/自社開発販売・在庫管理システム)
代表者: 代表取締役 高見 昌也
導入製品: LoopGate 専用機 5拠点 + LoopGate for PC 7ID
Webサイト: https://rise-up.net/

ライズアップ | 中古厨房機器業界で「売れる仕組み」を独自開発
株式会社ライズアップは、業務用中古厨房機器の販売・買取を「プロ厨房ヒット」ブランドで展開する企業です。兵庫県加西市の本社兼再生センターのほか、播磨・姫路・高松に直営店舗、岡山・淡路島・沖縄にフランチャイズ加盟店を構え、瀬戸内海を囲む形で営業エリアを広げてきました。
同社の特異性は、代表取締役 高見 昌也 氏が20年以上かけて自社開発を率いてきた販売・在庫管理システムにあります。中古厨房機器は「買取」「再生」「在庫化」という独自工程を経て店頭に並ぶため、市販パッケージでは部分最適にしか到達できません。高見氏は自らMicrosoft Accessを学び、外部パートナーと共に業界特有のフローを統合するシステムを内製してきました。その完成度は、2026年1月、公益社団法人 企業情報化協会の「IT賞」受賞という形で評価されています。朝日ホールディングス・楽天モバイル・JRなど大企業が並ぶ受賞企業のなか、姫路の中小企業として登壇したのが同社でした。
このシステムは単なる業務効率化にとどまらず、属人化を排除する構造で営業力そのものを底上げしています。新卒入社のスタッフでも入社2〜3年目で年商4,000万円規模を売る若手が育つ環境で、高見氏は「数字でなぜ伸びないのかという話を社員にしたことは一度もない」と語ります。仕組みが先にあって、若手の成長がそのあとに自然についてくる──これが同社の営業の作法です。
ライズアップが抱えていた課題
「売れる仕組み」は完成していた──最後まで残ったのは、営業が常駐していない拠点での”対面”だった
20年かけて「売れる仕組み」を磨き上げてきた同社にも、独自システムだけでは解決しきれない課題が残っていました。本社兼再生センターを置く加西市での来店対応です。
加西市の本社拠点は、商品の再生工程を担う実機の集積地であり、お客様が現物確認のために来社される機会も少なくありません。しかし、この拠点には営業職が配置されておらず、駐在しているのは現場スタッフのみ。新規のお客様が立ち寄られても、その場で商談を進められる営業担当者が不在のため、播磨店や姫路店のスタッフへ「車で40分ほどかかりますが、そちらの店舗にもお越しいただけますか」と案内する以外に手立てがない状況が続いていました。
中古厨房機器の購入検討は、新品とは異なり「個別の現物に対する判断」を要する性質を持ちます。同じ機種でも年式・使用感・整備状況によって価値が変わるため、お客様にとっては「現物を前にして、その場で営業から提案を受ける」ことが最も意思決定しやすい形です。それを別拠点まで足を運んでいただく運びになれば、お客様の心理的なハードルは一気に上がります。
「『また来ますわ』って言われるんですけど、関西人の『また来ますわ』は『行かない』と同じ意味なんですよ。」(代表取締役 高見 昌也 氏)
現物を見ながら営業と対面で話せる体験を取りこぼすことで、月に数件規模で商機が消えていく感覚を、高見氏は以前から強く持っていました。これは加西市の拠点だけの話にとどまりません。播磨店・姫路店であっても、営業が全員出払って事務員しかいない時間帯は発生し得ます。「いま営業の話ができる人はいますか」とお客様から問われたとき、店舗単位では対応しきれないケースが、営業所のあいだでも起こっていたのです。
同社の独自システムには、その商品に関するあらゆる情報が即座に引き出せる環境が整っています。仕入時の状態、整備履歴、相場、関連商品との組み合わせ提案まで、システムを開けば若手でも瞬時にアクセスできる。それにもかかわらず、その情報を「対面で活かす」場が拠点ごとに偏在していること──これが、20年磨き上げた営業基盤の最後の隘路として残っていました。
LoopGateがライズアップの課題をどのように解決したか

専用機の常時接続を土台に、LoopGate for PCで「営業を別拠点から呼べる」構成を組み上げた
LoopGate導入検討のきっかけは、総務部 部長が経営層から共有された問題提起です。高見氏は社員総会で以前から「拠点間の一体感を高めるために、汎用WEB会議サービスでの常時接続を整備したい」と発信してきましたが、結局のところ実現には至りませんでした。理由は明快で、毎日URLを発行して会議を立ち上げる運用が「面倒くさい」の一言に尽きたからです。
「経営者の集まりでも、汎用WEB会議で常時接続をしているという会社がありますけれども、絶対面倒くさいと思うんです。毎日URLを発行して。電源を入れてリモコンでピュッとやったらつながる手軽さは圧倒的だと思います。」(代表取締役 高見 昌也 氏)
検討当初の同社が重視したのは、まず「専用機の安定性と簡単さ」でした。汎用のWEB会議サービスのように、毎回URLを発行して参加者を招集する運用ではなく、電源を入れてリモコンを押せばそのまま事務所同士がつながる──この設計が、現場に運用負荷を強いない常時接続のあり方として、社員総会で語られてきた構想と一致していました。
選定の決め手①|事務所間の常時接続と、営業の遠隔参加を、同じ基盤でカバーできる
LoopGateの選定理由として、大きかったのが「専用機による常時接続」と「PC版による営業の遠隔参加」を同じ基盤で扱える点でした。事務所同士は専用機で常時接続される一方、LoopGate for PCを組み合わせれば、別拠点の営業が自席のPCから、すでに稼働中の常時接続環境にそのまま参加できます。「いま営業の話ができる人はいますか」という来店時の問いに対して、姫路店や播磨店からPC越しに営業が即座に応じる仕組みを、同じシステムの上で完結させられる構成は、汎用WEB会議では実現が難しい形でした。
選定の決め手②|既存の光回線・端末で導入できる工事負荷の軽さ
導入工事の負荷も極めて軽く済みました。同社の各拠点は一般的な光回線環境で、専用線や閉域網の敷設は不要です。事業の主軸が中古厨房機器という業態のなかで、情報システムの専任担当を持たない同社にとって、運用継続のハードルが低く保たれる構成は、選定上の重要な条件でした。
LoopGateがライズアップにもたらした変化

事務所4拠点が日常的に「ひとつの空間」になり、独自システムを”対面の場”に持ち出す準備が整った
LoopGate導入後、まず変わったのは事務所間の日常です。加西市本社、播磨店、姫路店、高松店の4拠点が常時接続され、各事務所の様子が画面越しに見えている状態が当たり前になりました。
「事務所同士が繋がっているっていうだけの感じなんで、もう朝、立ち上げて『おはようございます』って言うぐらいの感じなんですよ。」(代表取締役 高見 昌也 氏)
派手な会議や打ち合わせのために使うのではなく、隣の事務所に同僚がいる感覚を維持するためだけにつないでおく──この常時接続のあり方が、4拠点を一つの組織として運営する文化を底支えしています。香川県の高松店のように物理的に距離のある拠点も、本州側の3拠点と日常的に視界に入る状態が保たれることで、組織として分断されにくい構造ができあがりました。
特筆すべきは、LoopGate導入過程で生まれた「現場の不安への向き合い方」が、そのまま日常運用にも転写されていることです。導入直前にあった「監視されるのではないか」という現場スタッフの懸念は、運用が始まってみると自然に薄らいでいきました。
「最初みんな思ったほどでも気にしないっていうのも分かりましたし、総務から聞いてもらっても、やっぱりあるほうがいいよねっていう話になっています。」(代表取締役 高見 昌也 氏)
そして、同社にとっての本質的な変化は、「営業の遠隔参加」を実装できるインフラを手元に持てたことにあります。これまで同社の独自開発販売・在庫管理システムが提供してきた「若手でも瞬時に提案を組み立てられる情報基盤」は、各拠点に営業が居合わせている前提で初めて機能していました。LoopGate for PCを組み合わせることで、その情報基盤を「営業の居る拠点から、営業の居ない拠点の来店客に向けて、遠隔から立ち上げる」道筋が見えてきています。たとえば、加西市の再生センターに来店があったとき、姫路店の営業が自席のPCから加西市の常時接続環境にそのまま入り、現物を前にした事務員と一緒にお客様へ対面同等の提案を行う──こうした運用に必要な端末・接続環境は、すでに整っている状態です。
人員を一人も増やすことなく、加西市の機会損失を埋める下地ができたこと。これは20年磨き上げてきた独自システムの情報資産を、初めて拠点の壁を越えて活かせるようになることを意味します。
今後の展望
LoopGate for PCを起点に、神戸・大阪への商圏拡大と新拠点立ち上げコストの圧縮を狙う
同社が次の成長フェーズとして見据えているのは、関西大都市圏──神戸・大阪エリアへの商圏拡大です。古民家リノベーションを伴う飲食店の新規開業や、移住起業に伴う厨房機器需要は、加西市のような地方部だけでなく、都市部周辺地域でも一定量見込まれています。問題は、新拠点を立ち上げるたびにベテラン営業を物理的に配置することのコストと時間です。
LoopGate for PCを使った「営業不在拠点での即時対面営業」の本格運用
直近の構想として最も優先度が高いのが、すでに導入済みのLoopGate for PCを使った「営業の居ない拠点での即時対面営業」の本格運用です。加西市の本社兼再生センターをパイロットケースとし、来店があった瞬間に播磨店・姫路店の営業がPCから常時接続環境に入って商談に加わる体制を整える計画が進んでいます。お客様が「また来ますわ」と言って帰ってしまう状況をゼロに近づけ、その場で20年蓄積した独自システムの情報をもとに提案を組み立てる──同社にとって、システム資産を遠隔から発火させる初めての本格実装になります。
拠点数の段階的拡大と、フランチャイズ網との接続
将来的には、自社直営の新拠点を神戸・大阪方面に追加する構想があります。新拠点の立ち上げ時にベテラン営業を物理的に配置せずとも、本社・既存拠点と専用機常時接続でつながり、PC側からは熟練の営業が常時参加できる構成にしておけば、立ち上げ初期の営業力不足を遠隔から補完できます。さらに岡山・淡路島・沖縄のフランチャイズ加盟店とも、必要に応じてLoopGate for PCで個別接続する選択肢が現実的になってきます。
LoopGateが「商圏拡大の前提インフラ」になる
20年かけて完成させた販売・在庫管理システムは、同社の営業力を「人に依存せず若手でも戦力化できる仕組み」へと組み替えてきました。そしてLoopGateは、その営業力を「拠点に依存せず、別拠点の営業からも発動できる仕組み」へと組み替える役割を担います。中古厨房機器のように現物確認の価値が高い商材を扱う企業にとって、対面営業を遠隔化できる仕組みは、これからの商圏拡大の前提インフラになる可能性があります。同社の取り組みが、地域経済のなかで堅実に拡大していく中小企業の一つの実装モデルとして、同業・他業種を問わず参考になれば幸いです。




