
守山乳業は1918年(大正7年)に創業。日本で初めてコーヒー牛乳を製造販売したパイオニアとして知られる乳業メーカーである。長く愛されてきた「喫茶店の味ココア」は、2025年に日本食糧新聞「食品ヒット大賞」優秀ヒット賞を受賞。
チルドカップ飲料の「POKECAFÉ」シリーズや、A2ミルク、業務用ソフトクリームミックス「冨士クリップ」、フラッペ&シェイクベース「ミルシャリ」など、業務用から一般消費者向けまでの幅広い商品ラインを展開している。
導入企業: 守山乳業株式会社
業種: 食品製造業(乳業・乳製品・清涼飲料水等)
創業: 大正7年(1918年)1月
従業員数: 264名(男性200名・女性64名)
拠点: 本社(神奈川県平塚市)/神奈川工場(南足柄市)/全国の営業所
導入製品: LoopGate 2台 + LoopGate for PC 8ID + AIビデオバー
主な用途: 会議/今後は工場間の常時接続を検討
Webサイト: https://www.fujimilk.co.jp/

1918年に日本で初めてコーヒー牛乳を商品化した乳業のパイオニア、守山乳業株式会社。神奈川県平塚市の本社と神奈川工場、そして全国の営業所で行われる日々の会議は、長らく海外製のテレビ会議システムが支えてきた。
しかしサービス終了に伴い汎用WEB会議サービスへ移行したあと、大会議室では発表者の声が散ってしまい、議論のテンポが戻らない日々が続いていた。問い合わせの起点は、神奈川工場・品質保証部からの「2拠点を常時接続したい」という現場要望。ところがデモを見た本社管理部・DX推進部の判断で、案件の主軸は反転する。
先に解決すべきは、全社会議そのものの音声品質だった——LoopGateとYealink AIビデオバーを組み合わせた今回の構成が、108年続く乳業の現場にどのような変化をもたらしたのか。

守山乳業が抱えていた課題
海外製テレビ会議のサービス終了後、汎用WEB会議では大会議室の声が拾い切れなかった

守山乳業の本社・工場・営業所をつなぐテレビ会議は、長く海外製の専用機システムが担ってきた。専用機ならではの安定した映像と、会議室全体を見渡すカメラ、そして大人数の声を確実に拾うマイク——その三点がそろっていたから、平塚本社の大会議室から各拠点への発表も、議論の往復も、特に意識せずに成立してきた。
ところが当該シリーズがサービス終了を迎え、運用上やむを得ず汎用のWEB会議サービスへ切り替えてからは、状況が変わった。社内に増えていた会議室向けのWEB会議構成と、各営業所のノートPC、そして本社の大会議室——それぞれの組み合わせで会議を回すたびに、「発表者の声が遠い」「席によって聞き取れない」「相槌のタイミングが合わない」といった小さな不都合が積み重なっていく。
特に問題が大きかったのは、本社の大会議室で発表側に立った場面である。広い空間に複数のスピーカーを配置しても、ある席の声が遠くなる、別の席のキーボード音だけがやけに大きく入る、といった偏りが残った。社内のDX推進部側でも、別メーカーのビデオバーを使った検証が一度行われていたが、結果は芳しくなかった。
以前、汎用WEB会議の会議室向け構成でビデオバーをテストしたのですが、聞こえにくい現象が起き、別スピーカーを追加しても解消はされませんでした
集音側のハードウェアを足しても解決しなかったということは、原因が単純なマイクの性能ではなく、WEB会議サービスのアーキテクチャと会議室の音響特性、それにマイクのレイアウトが噛み合っていなかったということだ。
もうひとつ、現場側の課題が並行して走っていた。神奈川工場の品質保証部では、複数拠点に分散している品質保証チームが、判断を要する場面ごとに電話と汎用WEB会議を使い分け、ときには現場に駆けつける必要があった。「離れた工場の品質保証部同士が、隣にいるように常時つながって相談できれば、判断のスピードが上がる」という問題意識だ。
つまり守山乳業の課題は、「全社会議の音声品質」と「工場間の常時接続化」という、性格の異なる二つの問題が同時並行で進行している状態だった。どちらも一朝一夕には解決できず、解決の順序を間違えれば投資判断が止まってしまう。会議をスムーズに進めたいというシンプルな現場の願いが、テクノロジーの選定基準を曇らせる程度には、複雑に絡んでいた。
LoopGateが守山乳業の課題をどのように解決したか
AIビデオバーで集音範囲を大会議室全体に広げた
守山乳業とRTCテックソリューションズ(当社)の最初の接点となったLoopGateのデモンストレーションでは、品質保証部のご担当者が中心となり、工場間の常時接続用途を想定して行われた。
ここで案件が反転する。現場のご担当者からメールが届いたのは1週間後。「先日は、丁寧なご説明と分かり易いデモを披露して頂き、機能が良く理解できました。弊社、ネットワーク等担当部門(DX推進部)に情報共有したところ、一度、お話しをお伺いした旨のリクエストがございました」——本社のDX推進部、すなわち取締役のところまで話が上がったのだ。
本社で改めて開催されたデモンストレーションでは、現場のご担当者に加え、本社のDX推進部 取締役と本社ご担当者複数名が同席。弊社の担当が持参したデモ機一式を使い、LoopGate端末そのものの品質を確認したうえで、Yealink製のAIビデオバーをLoopGateにつなぐ構成を提案。
Yealink AIビデオバーが解いた、4つの音響課題
Yealink AIビデオバーは、カメラ・マイクアレイ・スピーカーを一本の筐体に統合したオールインワン機器である。汎用のWEB会議では届かなかった大会議室の集音課題を、次の4つの設計で解消する。

- マイクアレイによる広域ビームフォーミング — 複数のマイクが指向性を電子的に切り替えながら、発言者の方向だけを狙って集音する。会議室の端席で話しても、マイクの前まで身を乗り出す必要がない。
- AIによる話者追尾とフレーミング — 内蔵カメラが発言者を自動でフレームに収める。「誰がいま話しているのか」がリモート側にも自然に伝わり、議論の流れが視覚的に追える。
- エコー・暗騒音の自動抑制 — 大会議室特有の反響音や、空調・キーボードといった暗騒音をリアルタイムで処理する。発言だけがクリアに残る。
- 筐体一体型の音響設計 — 集音とスピーカー出力が同一筐体で最適化されているため、ハウリング対策・遅延チューニングを別個に作り込まなくてよい。
社内のDX推進部 取締役から、汎用WEB会議時代の苦い経験をお聞きできた。「汎用WEB会議の会議室向け構成でビデオバーをテストしましたが、サービス側の問題なのかわかりませんが、マイクが発表者の声を拾えない現象が発生していました」
この発言を受け、LoopGate × Yealink AIビデオバーによるデモンストレーションを実施。このデモで、汎用WEB会議では届かなかった「大会議室の端席の声」が、LoopGate+Yealink AIビデオバーの組み合わせでは安定して相手側に届くことが確認された。集音範囲がそれまでより一段広がり、「発表者がマイクの前に近づく」という暗黙の所作を必要としない会議運営が可能になった。映像側についても、LoopGateの専用機としての画質と、AIビデオバーのPTZ・話者追尾が組み合わさり、誰が話しているのかが画面側に自然に伝わる状態が成立した。
LoopGateが守山乳業にもたらした変化
「聞き返し」が消えて議論のテンポが戻り、当初の目的だった常時接続検討まで一歩前に進んだ
導入後、守山乳業の本社大会議室で起きた変化は、目に見える派手なものではない。むしろ、それまで会議の体感を確実に削り取っていた小さな摩擦が、静かに消えていくタイプの変化だった。
第一に、「もう一度お願いします」という聞き返しが減った。汎用WEB会議時代は、発表者の声が遠かったり、特定の席の人の声だけ拾えなかったりして、相手側から確認のために発言が繰り返されることが多かった。LoopGate+Yealink AIビデオバーに切り替えてからは、大会議室のどの席で話してもAIビデオバーのマイクアレイが集音範囲に収めるため、繰り返しの確認が会議の中に入り込まなくなった。社内から共有された評価は端的だ。
LoopGateにしてから、映像品質も良くなり、何よりYealinkのビデオバーを入れた事で集音範囲が飛躍的に広がり、音声課題の解消につながりました
集音範囲が「飛躍的に広がった」という表現は、汎用WEB会議時代に別スピーカーを追加しても解消しなかった経緯を踏まえると、相応の重みを持つ。
第二に、会議のテンポが戻った。聞き返しが減るということは、議論の流れが切れにくくなるということだ。守山乳業のように、業務用顧客との価格改定や新商品リリースのスケジュール、品質に関する社内判断、研究開発の進捗共有といった、複数部門が関わる議題を回す経営において、会議のテンポは意思決定そのものの速度に直結する。発表者が「マイクの前に身を乗り出す」ような所作を意識せずに済むだけで、議論の主役は再びテーマ側に戻ってきた。
第三に、現場のIT負担が軽くなった。LoopGate端末は専用機としてLAN電源を入れれば即起動するため、本社の総務・情シス兼任スタッフが会議前のセッティングに割く時間が短縮された。AIビデオバーも、汎用WEB会議向けによくある「複数のスピーカーマイクを部屋の各所に置く」運用と違い、ディスプレイ下に一本付けるだけで完結する。配線が減ったことで、会議室そのものの見た目も整い、来客時の印象にも好ましく作用している。LoopGate for PCは各営業所のノートPCにインストールして使う設計で、現場のスタッフがマイクとカメラ周りを意識せずに会議へ参加できる。会議のたびに「先週は使えたのに今日は音が出ない」といった個別対処に追われる、という日常も後退した。
そして第四に——これが今回の事例のもっとも示唆的な点である——当初目的だった「工場間の品質保証部常時接続」の検討が、再び前に進んだ。全社会議の音声課題という、より波及範囲の大きい問題が先に解消されたことで、「次は当初検討していた常時接続をどう実装するか」というアジェンダに、社内の関心と予算配分の見通しを向け直す余地が生まれた。順序を入れ替えた判断が、結果として両方の課題に道を開いた格好だ。
今後の展望
品質保証部の工場間常時接続化と、各営業所への展開で意思決定のスピードを底上げする
今回の導入は、守山乳業にとってのゴールではなく、むしろ次の展開のための土台である。社内からは次のメッセージが出ている。
今後は、当初の目的であった常時接続についても検討していく方向です
最初の問い合わせの起点だった「工場間の品質保証部常時接続」は、引き続き検討が進む。乳業の品質保証は、官能評価、微生物検査、製造工程の異常検知など、現場の目と勘が大きな比重を占める領域である。離れた拠点の品質保証部同士が「隣にいるように」常時つながっていれば、判断を要する場面で電話・メール・出張のいずれにも頼らず、対面に近い情報密度で相談できる。LoopGateの常時接続ソリューションは、まさにこの「現場が現場のままつながる」用途で多くの工場・研究施設に採用されてきた領域であり、今回の本社構成と整合する形で工場側へ拡張していく余地が大きい。




