
導入概要
- 業種
- 公的研究開発機関
- 導入製品
- リモート窓口システム「テレ窓」
- 導入内容
- 4台(無人窓口3台+受付コールセンター1台)
- ネットワーク
- NTTドコモビジネス「docomo Business Link」による工事不要の閉域網。テレ窓のサーバ不要設計により、ビデオ会議サーバ(多地点接続装置)を置かずに実装。
本事例のお客様は、業務上の機密情報を日常的に扱う公的機関です。施設のネットワークは外部インターネットに出口を持たない完全閉域の設計が前提。施設間を結ぶ回線も、国の管轄下にある閉域網で組むことが基本方針となっています。本事例では、Zoomなどのクラウドサービスを採用する選択肢が存在しないお客様が、どのようにして閉域網・ビデオ会議サーバー不要の環境でリモート窓口を実現することができたかが分かります。
公的研究開発機関が抱えていた課題
「閉域網必須・既存閉域網は流用不可・新規工事も不可」のネットワーク制約
ネットワーク三重制約 × 設備不足。 これが、本案件の出発点でした。
複数拠点にまたがる来訪者受付を見直したい。各拠点に受付要員を常駐させることが難しく、来訪時間帯によっては受付が無人になる時間帯も発生する。人員配置を最適化しつつ、来訪者を待たせない受付体制を維持したい──そうした背景から、複数の無人受付を1つのコールセンターから映像で応対する「遠隔テレビ窓口」の構想が立ち上がりました。
ところが構想を具体化しようとすると、ネットワーク側で三重の制約が立ち塞がります。
第一に、閉域網は必須。 来訪者の氏名・所属・訪問目的・本人確認の会話は機関の業務機密に直結します。インターネット経由のクラウドビデオ会議は、最初から検討対象外でした。
第二に、既存閉域網の流用は不可。 機関が保有する閉域網回線は基幹業務との分離が厳格に求められており、受付システムを相乗りさせることができません。「もっとも近道に見えた解決策」は、早々に消えました。
第三に、新規の配線工事も不可。 壁面・天井・配管に手を加える物理工事は、機関の運用規程・安全基準のもとで承認取得のハードルが高く、工期面でも柔軟に動かせません。
加えて設備側の制約も重なります。各拠点にオンプレミスのビデオ会議サーバを増設する余地が乏しく、ラックスペースもサーバ保守の運用体制にも余裕がない。「システムを増やすための器」がそもそも足りない状況でした。
閉域網でないとダメ。既存閉域網は使えない。工事もできない。サーバも増やせない──ネットワークと設備の両面から出口を塞がれた、それが導入時点の景色です。
テレ窓が公的研究開発機関の課題をどのように解決したか

docomo Business Link × テレ窓のサーバ不要設計
閉域網は「敷かずに」用意する。サーバは「置かずに」つなぐ。 これが本案件の答えでした。
NTTドコモビジネスが提供する「docomo Business Link」を閉域網の構成要素として採用し、テレ窓端末と組み合わせることで、工事ゼロ・サーバ増設ゼロでの遠隔受付環境を構築しました。
① 工事不要で「自前の」閉域網を組む
docomo Business Linkは、専用ルーター機器を各拠点に設置するだけで、NTTドコモビジネスの閉域キャリアネットワーク上に論理的な閉域網を構築できるNaaS(Network as a Service)型サービスです。ワイヤレスアクセス方式を選択すれば、光回線の敷設工事は不要。
「工事をしない」のではなく、そもそも工事をする必要がないネットワーク設計が可能になる。これが本案件の発想転換でした。
3拠点それぞれに専用ルーターを配置し、拠点同士を同一の閉域網でつなぐ構成としました。既存の業務系閉域網とは完全に分離されているため、受付トラフィックと基幹業務トラフィックが混在することもありません。
② センターサーバを置かない「サーバ不要型」テレビ窓口
もうひとつの独自ポイントが、ビデオ会議用のオンプレミスサーバ(多地点接続装置)を置かない設計です。テレ窓とdocomo Business Linkの組み合わせにより、閉域網内の端末間で直接通信する構成を実現しました。
価値は機器が減ることだけにとどまりません。サーバが存在しなければ、OSパッチ・ミドルウェア更新・ストレージ故障といった保守事象も発生しない。施設側で新規ラックを確保する必要もなく、月次の運用は「端末が動いているか・閉域網がつながっているか」の2点に集約されます。
公的機関にとって、新規システムを”増やさずに”機能を足せることは、運用規程・予算査定の双方で大きな意味を持ちます。
③ 無人窓口3+受付コールセンター1の「1対3運用」
実運用は、無人窓口3ヵ所+受付コールセンター1ヵ所の計4台のテレ窓で構成しました。
来訪者が無人窓口の端末から呼び出しをかけると、受付コールセンター側の担当者が応答。本人確認・担当部署への取次をテレビ窓口越しに実施します。1名のオペレーターが3拠点の受付をカバーできるため、拠点ごとに受付要員を常駐させるコストを抑えながら、対面に近い受付体験を維持できます。
テレ窓が公的研究開発機関にもたらした変化
工事もサーバーも増やせない機密エリアに人のやりとりが戻ってきた
導入後の変化は、来訪者・運用・システム部門それぞれの目線で確認できました。
来訪者側:「機械相手の呼び出し」から「映像越しに人が出てくる受付」へ
これまでは内線電話や掲示された連絡先を頼りに自分で部署を呼び出す必要があり、電話がつながるまでの間、広い受付ロビーでひとり立ち尽くす時間が小さな不安要素になっていました。
導入後は、無人窓口のテレ窓画面越しに受付担当者の顔が映り、対面と同じ温度感で「お待たせしました」「どちらの部署へお越しですか」と応対できます。機密エリアに、人のやりとりが戻ってきた──そんな変化です。
運用側:3拠点の来訪状況を1拠点で俯瞰
受付コールセンターから3拠点の来訪状況をひとつの場所で俯瞰できるようになりました。
朝の来訪ピーク・昼前後の谷といった受付業務の波を1名のオペレーターが一元管理できるため、人員稼働の無駄が減り、応対品質も均質化しやすい構造に変わっています。
システム部門側:保守負担を増やさずに”遠隔テレビ窓口”を立ち上げ
サーバを増設しない構成にしたことで、保守負担は事実上増えていません。新規システム導入に伴う定期保守・バージョンアップ・障害対応の工数を増やさずに、機関としての「新しい遠隔テレビ窓口」を立ち上げられた点は、システム部門の評価を得るうえで大きな要素となりました。
今後の展望
「工事できない」施設を開拓する、サーバレス閉域窓口という新しい標準
今回の構成は、「閉域網が必須だが、既存閉域網の相乗りはNG、新規配線工事もできない」という三重制約を抱える公的機関に幅広く適用できます。
中央省庁の出先機関、独立行政法人、研究開発関連機関、大学の一部施設──同様の制約下で遠隔受付や拠点間テレビ窓口の構想を温めている機関は少なくありません。今回確立した「テレ窓 × docomo Business Link × サーバ不要設計」のパッケージは、こうした機関への横展開を進めるうえでの参照モデルになります。
RTCテックソリューションズは、高セキュリティ領域における「工事できない」「サーバを増やせない」という制約を前提に、NTTドコモビジネスをはじめとするパートナー各社と連携しながら、テレ窓を用いた閉域網ソリューションを提供しています。同様の環境でリモート窓口システムの導入をご検討の機関・企業の方は、お気軽にお問い合わせください。






